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2021年2月 7日 (日)

中風の人から

ルカ5章23節   2017新改訳

 『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。

 共観福音書マタイ、マルコ、ルカすべてに載るこの「屋根から吊り下ろされた中風の男の癒やし」は、これまで「あなたの罪は赦された」と宣言されたイエス様の立場から語られてきました。しかし今回、当の本人はどう思っていたのか、それに焦点をあてて見ていきたいと思います。

 キリスト教はどこかのクラブやサークルとは異なります。何が違うのかご存知でしょうか? それは罪赦された者の集まりなのです。クリスチャンになる人は次のような三つの段階を通っている人です。先ず霊魂が不滅であることがわかっていなければなりません。「鬼滅の刃」の鬼は炭次郞に切られると滅んでしまいますから、霊的な存在ではありません。霊は血肉の体と異なって不滅であり、天と地獄のどちらかで永遠に生きるのです。
 次に自分について、罪の故に滅ぶ存在であることを認識していなければなりません。それでこそ悔い改めることができるのです。最後に十字架の贖罪と赦しを受け、人が大きく変えられていなければなりません。そのような人は過去の罪を償いたい思いが強くなり、嘘がつけなくなります。良心が強くなるからです。また不安や恐れから解放され、天国を実感するようになります。その喜びはどうにも押さえようがなく、叫び出すほど心が引き上げられていきます。要するに、人が変わるのです。

 中風の男は、これはあくまで推測にならざるを得ませんが、深く悔い改めていたと思います。中風とは脳の血管の障害によって一部が壊死し、半身不随とか片麻痺、言語障害などが起こる後遺症です。吊り下ろされながら男は、自分の体を過信したこと、不摂生をしたこと、特に高慢であったことを悔い改めていたはずです。イエス様はそのことをご存知でした。それゆえ「あなたの罪は赦された」と言われたのです。この時、癒やされることよりも、はるかに素晴らしいものを男は受けたからです。

 この中風の男と同じように「罪は赦された」と語られたのは、パリサイ人に招かれていたイエス様と、そこに侵入した罪深い女との一件でした。女がイエス様にした一つ一つのことがらに、彼女の深い悔い改めを見ることができます。その上で、罪が赦された、そこにどれほどの喜びが溢れたことでしょうか。中風の男も、もう血肉の体が癒やされることなど、どうでも良くなっていたはずです。肉体のどんな癒やしでも、それは一時のもので、やがて必ず滅びます。しかし罪が赦され解放されることは永遠であり、天の神との交わりが開かれる絶大な恵みです。両者を比較するも愚かなことです。この男が癒やされたのは、パリサイ人などへの証明のためです。群馬県在住の詩画作家「星野富弘」さんも、これとまったく同じようなことを言っておられましたことから、このことは確認できるのです。

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